鷹は常用漢字に入れるべきか(02)

2009/04/02 當山日出夫

山本さん、コメントありがとうございます。京都市バスに乗ると、車内のアナウンスは、「ななじょう」と言っています。

三鷹市の件で思うことは、「新常用漢字(仮称)」の中に入ることのメリットとは、いったい何であるのか、ということ。逆に、外れることに、なにかデメリットがあるのか。

最低限わかっていることは、次のふたつだけ。
三鷹市など、市町村レベルの地名文字としては、確実に用例がある。
・「鷹」の字だけを取り出してみても、さほど難解な文字とは思えない。(これはかなり主観的な判断になる。)いわば、常用平易な漢字(らしい)。

何度も書いていることあるが、では、日本語の中で「鷹」という字は、どのような使用例があるのか。その実態が分からない。本の書名では、『紫電改のタカ』(ちばてつや)、これは片仮名。『冬の鷹』(吉村昭)、これは漢字。人名としては、上杉鷹山、ぐらいか。「タカ派ハト派」の表記の方が、より普通だろうなあという気はする。

「たか・タカ・鷹」、それぞれに、どのような使用例があるのか、はっきりしないままで、論じても、無意味だろう。

では、もとにもどって、「鷹」が「新常用漢字」になることによって、なにかメリットあるのだろうか。これで、三鷹市知名度が上がるとも思えない(この件で、ニュースで取り上げられるということは逆説的にあっても)。別に「三たか」と書けと強制しているわけでもない。固有名詞は、基本的に対象外ということであるから。

日本語、あるいは国語、にとって、「鷹」という漢字は、どうあつかえばいいのか、ということにつきる。現実には、常用漢字表以外の漢字も、自然に憶えてしまっている。このとき、用途別の漢字表というのを改めて考えるべきだろう。

現在の「新常用漢字表(仮称)」の議論は、なにもかも、日本語の漢字の問題(字種・字体など)を、「新常用漢字表(仮称)」に押しつけてしまっているような気がする。

手で書ける文字の範囲、印刷の標準的な字体、コンピュータで使用の文字、日本語を母語とする人/しない人、それぞれに違っている。

當山日出夫(とうやまひでお)

読字障害『病の起源2』

2009/04/02 當山日出夫

最近の本ですが、『病の起源2』(NHK)があります。その中で、「読字障害」について書いてありました。詳しくは、「やまもも書斎記」の方に、書いておきました。

http://yamamomo.asablo.jp/blog/2009/04/02/4221162

現在、文字と言葉のことを考えるとき、このことは無視できないと思います。場合によっては、社会全体での、すくなくとも公共の場での漢字使用については、根本的に考え直すべきかもしれません。

當山日出夫(とうやまひでお)