誤報でも「飛翔体」

2009/04/05 當山日出夫

uakiraさんの日本語練習中 「飛翔体」と共に球春到来
http://d.hatena.ne.jp/uakira/20090405

なるほど、前例があるのかと思う。で、どうせ誤報と思って、そう詳しく見ることもなかった、今日の新聞を見る(朝日新聞、大阪版)。

昨日(4月4日)に、防衛省は、北朝鮮のミサイル(と称しておく)の発射で誤報をやってしまっている。そのとき、使っている用語が、やはり「飛翔体」。

つまり、政府発表においては、あるいは、防衛省用語においては、「飛翔体」という語(表記)は、前もって決まっていたということになる。相当の確信犯である。

この場合、論点を整理するならば、
・日本の政府の用語としての「飛翔体」という使い方、その用例
・これを報道するとき、これでいいかどうか。ルビの必要はないか、仮名に開く必要はあるか。
ということになるであろうか。

「銑鉄」の「銑」の字が、常用漢字から消える(はず)。おそらく、この字も、製鉄、鉄鋼業関係の法令や規格などでは、使用例があるはず。「匁」も、真珠の国際取引の単位である(実際には、ローマ字で書くかもしれないが)。

この意味では、強いてどうのこうのということはないかもしれないが、よりによって「新常用漢字表(仮称)」が問題になっているとき、堂々と使うというのは、どうかと思う。

ミサイルだかロケットだか、なんだかよくわからないが、空を飛ぶ物体を、「飛翔体」というのであるならば、軍事的な(あるいは、政治的な)専門用語ということになるのか。

そういえば、「拉致」という語も、以前は、「ら致」と書いていた。北朝鮮関係用語(?)で、字が増えていく。政治的配慮の影響とすべきかもしれない。

當山日出夫(とうやまひでお)