新常用漢字:野村さんの論にすこし補足

2009/03/21 當山日出夫

2009年3月18日の朝日新聞野村雅昭さんの文章について。

まず、印刷標準字体、これは、おそらく日本の言語政策として、最もおろかなものであったと、私は断ずる。この点については、まったく同感。

ともあれ、これによって、0213:2000は、0213:2004への改訂を余儀なくされたということがある。そして、その延長線上に、今回の、「新常用漢字表(仮称)」がある。

ここで、新しい漢字表の部分字体を統一したらどうなるか。たとえば、「しんにゅう」の「てん」。「しょくへん」など。それにあわせて、少なくともJIS規格を、またまた改定しなければならなくなる。つまり、情報化時代への対応としては、かなり妥協しているわけである。少なくとも、字体の点では、おおきく逆行はしていない。

・表の内部の部分字体の整合性
・現在のコンピュータの文字の規格との整合性

どちらを、どのように優先するか、ということである。(問題のある字は、強いて入れる必要がない、ともいえる。)

こんなこと、ここに私が書かなくても、すでに、安岡孝一さんや、小形克宏さんが、とっくに指摘している。

情報化時代に逆行しているというのは、もはや、「新常用漢字表(仮称)」など決める必要がない、という意味で理解できる。強いていえば、「新聞」が覚悟を決めればいいだけのことである。

考えなければならないのは、国際化のなかでの日本語の表記のルールである。この意味において、「新常用漢字(仮称)」に「怒りのつぶてを投じたい」という、野村さんの意見に、賛同する。

當山日出夫(とうやまひでお)