やっと「ミサイル」で落着

2009/05/16 當山日出夫

今日(2009/05/16)の朝日新聞の朝刊(大阪版)。「北朝鮮ミサイル 防衛省の報告文(全文)」が掲載になっている。読んでみると、

(略)「北朝鮮によるミサイル発射」と呼称することとした(本文書で北朝鮮が発射したものを「ミサイル」という)。(略)

とある。まあ、要するに、「ミサイル」であったということである。なお、文書中に「飛翔体」の語は使用されていない。

ならば、なぜ、発射の時点で、「飛翔体」という語を使ったのか。同音の字による書きかえとしては、「飛昇体」もあり得たはずであるが、これは採用しなかった。また、「飛しょう体」ともしなかった。

ここで、最初の疑念にもどる。今回の件が、本当にミサイルであり、日本に落下の可能性があった(日本を標的にしたとまではいわないにしても)場合、「飛翔体」を使っただろうか。

日本には、実害が無いことが予測できていたからこそ、政治的判断として「ミサイル」はさけて「飛翔体」を採用した。それだけ、「余裕」があったということになるのであろう。それまでのマスコミ報道などでは、ミサイル、テポドン、と称していたのであるから。

すくなくとも、政府の当事者の考え方の中に、現行の「常用漢字」のことは、まったく無かったことだけは、確かなようである。

當山日出夫(とうやまひでお)