「障」「碍」「害」

2009/05/16 當山日出夫

「もじのなまえ」で、議論がある。
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20090514/p1


「障碍」か「障がい」か「障害」か、である。でも、このことを議論する前に、てもとも漢字の辞典で、「障」「碍」について調べてみるぐらいの手間は、かけるべきだと思う。

「障」を含む熟語としては、「故障」「障壁」などがある。つまり、さまたげになるもの、じゃまになるもの、という意味である。「障子」は、今では建具であるが、本来の意味としては「バリア」である。

「碍」も同様。さまたげるもの、という意味の漢字である。また、「礙」も同じ。

ただ、現代の日本語の通常の用法としては、「害」の字のマイナスのイメージが強いとはいえよう。「害悪」「損害」など。

私の立場としては、「碍」を「新常用漢字表(仮称)」に入れることに反対はしない。ただ、それを主張するには、裏付ける「データ」が必要。

また、その一方で、今回の「新常用漢字表(仮称)」における議論で、日本語表記と漢字表の問題が、かなり明らかになってきた。一般に知られるようになった。「目安」の解釈の問題として、「しょうがい」については、表外字で「障碍」という表記を認める方向もある。(ある意味で、このことの問題提起としての意義の方があると考える。)

「銑」が無くなったからといって(まだ、決まってはいないが)、「銑鉄」をすべて「せん鉄」と表記する、「先鉄」に表記を変える、ということはないだろう。

たしかに現行のルールでは、公文書は、常用漢字表による。だが、これは、社会のきまりごとにすぎない。きまりごとは、変えることができる。「目安」の解釈と運用の方向からも、対応することもできる。(しかし、これは、「目安」をなし崩しにするものであってはならないが。)

當山日出夫(とうやまひでお)