「障害」についてまとめると

2009/05/17 當山日出夫

ちょっと落ち着いたところで、あらためて、小形さんのブログを読みなおしてみる。「障害/障碍」については、前日、5月13日で、すでに十分に論点が整理されている。

http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20090513/p1

新聞協会にも、また、障害者団体にも、様々な意見がある。まず、このことを確認するのが先である。そして、このことをふまえた上での、林史典さんの発言と読めば、十分に話しのすじはとおる。

強いて残る点といえば、公文書においてどこまで強制力を持つか、である。この場合も、「障害者」という語の表記については、社会的に特段の配慮が必要ということで運用の場面で個別に考える、という方向で対応することが、妥当であろう。

「新常用漢字(仮称)」は、あくまでも公用文などにおける目安なのであって、絶対的な漢字制限でもなければ、また、日本語一般の正書法でもない。たとえば、「システムに障害が発生したので」という用例と、「障害者/障碍者」を、別に考える余地はある。

・「障害者」
・「障碍者
・「障がい者
・別の言い方を考える(今、すぐには思いつかないが)

このいずれを採用しても、社会の全員が納得することはあり得ない。もし、ここで妥協点を見出すとするならば、

・「碍」の字を入れる/入れない
・「表」の実際の運用の問題

この双方向から考えるしかない。しかし、これを考え出すと、そもそも何のための「表」であるのか、という議論になってしまう。

となれば、「パブリックコメントにおける意見の反映」という理由で、「碍」を入れる。そのうえで、「表」の運用上の注意事項として、論点を明記しておく。

確認しておきたいのは、今の「新常用漢字表(仮称)」は、「しょうがいしゃ」という日本語のことばの正書法を決めるのではない、ということである。(日本語の正書法の議論は重要である。だが、それを、拙速にここで求めるべきではない。)

なお、小形さんの文章を読んで、内田委員、松村委員の発言を見ると、そもそも委員として名をつらねる資質に欠ける。すくなくとも、「新常用漢字(仮称)」の問題についての「有識者」の発言とは思えない。

當山日出夫(とうやまひでお)