戦後日本 漢字事件簿(その一)

2009-09-07 當山日出夫

これは、本の方を読んでの感想。

円満字二郎.「戦後日本 漢字事件簿」.『NHK知る楽 歴史は眠らない』.2009年8-9月.2009.日本放送出版協会
http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=61895252009

誰のための、何のための、「漢字表」であるのか。この点を軸にした記述であると、私は読む。

第1回についての次のような記述、山本有三の発言として、

漢字を制限するならなるべく少ない方がよいことはわかっているが、実行できないものをきめてもしかたがない。
pp.99-102

ただ、私見としては・・・漢字制限論の背景にある、近代国家日本としての国民のリテラシの向上、この方向があったことは確かである。今、われわれは、とりあえず、ほぼリテラシ100%に近い社会を達成して、その中に生活している。そして、日本語を母語としているということ。この暗黙の大前提について、もうすこし距離をおいて考えてみる必要があるのではないか。

耳できいてわかる日本語、こういう視点から、日本語の表記を考えてみる必要もある。(※ただし、聴覚に障碍のある人を疎外するものであってはならない。)

當山日出夫(とうやまひでお)