なぜ明朝体なのか

2010-03-25
當山日出夫

改定常用漢字表も、新たな展開を見せているようである。


もじのなまえ 2010年3月24日
第40回漢字小委員会で、情報機器に配慮した修正案を提示
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20100324


このことは、JIS漢字についての議論のとき、もう10年以上も前になるが、指摘したこと。端的にいえば……字体を論じているつもりかもしれないが、実は、明朝体のデザイン差を議論しているのではないか。

この問題提起をしたころから比べると、ずいぶんとましになってきたという印象はある。しかし、それでも、まだ、あえて問いかけるべきであろう。なぜ、明朝体であるのか、と。

改定常用漢字表が、情報機器(コンピュータや携帯電話)で使用の文字を議論するのであるならば、明朝体と同時に、ゴシック体も考えないといけないはずである。なぜなら、ほとんどの情報機器文字は、ゴシック体を基本としているからである。

まあ、たいていの場合、ゴシック体と明朝体とは、フォントとして、ワンセットでデザインされるものであるから、明朝体を論じておけばそれでいいといえば、それまでかもしれない。

いま、私は、この文章を、メイリオで書いている。しかし、ブログにアップしたら、文字(字体)が変わる。見る人の環境(コンピュータ)によっても変わる。

印刷文字の字体の代表として明朝体というのであるならば、それはそれでいいのかもしれないが、しかし、社会の現実の文字のあり方からすれば、すこし狭量ではないだろうか。

ひさしぶりに、思ったことである。

當山日出夫(とうやまひでお)