仮名の位相

2016-07-30 當山日出夫


文字の位相ということについては、笹原宏之の研究がある。

笹原宏之.『国字の位相と展開』.三省堂.2007
https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/kokuji_iso_tenkai.html


では、文字の書体と位相はどのように関係するのであろうか。先にみた、石塚晴通の定義では、書体にこのような但し書きがある。


多くは其の漢字資料の目的により決まる


これを、位相と読み替えてもいいように私は思っている。私のこれまでの経験をいえば、石塚晴通は、公的文書(たとえば、宮廷写経とか開成石経など)と、私的文書とでは、異体字の出現に差があることを言っている。そして、HNGを見てみるならば、公的文書は、楷書で書かれるのに対して、私的文書は、行書のまじった書体でかかれることが多い。


場面・目的による違い、どのような人を相手に書いた文書であるのかによって、文字の書体・異体字率が変化していることが確認できる。これを、位相による変化ととらえてても、あながち間違いではないように、私は理解している。


では、文字の位相という考え方は、仮名にどのような関係があるのであろうか。


第一に、仮名という文字が、漢字という文字と、どのような位相の違いがあるか、ということがある。


第二に、仮名が漢字から発生したとして、それは、漢字のどのような位相における使用と関連するのか、ということである。


第三に、仮名にも、真仮名・平仮名・片仮名、さらには、草仮名もある。それぞれの仮名……これを、仮名の書体と言っていいのかもしれない、まだ、自信はないのであるが……は、それぞれに、どのような位相にあるのか。


だいたい以上のような問題点が、文字の位相という概念を、仮名と漢字について、まず考えてみなければならないことであろう。